補助人工心臓体験記

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○○くんを救う会

国内心臓移植待機者の私からお願したいこと

本当に補助人工心臓を付けて心臓移植を待っておられるのであれば、おそらく救う会の関係者も当サイトを閲覧されているかと思います。
まずは最低限、上記の内容を代表者よりメディアを通じて説明することを願います。
それはあなた達だけの問題では無いからです。

過去の努力と実績を無にしてしまう恐れ

日本では長らく移植医療がタブー視されてきました。約20年前に関係者の地道な努力により臓器移植法が施行され、徐々にではありますが国内で臓器移植を受けられる環境が整いつつあります。

しかし、それも十分に整ったという状況ではありません。

過去記事 こども達へ移植医療を にも一端を記載しています。
そのような事情もあるので「りたくん」も渡航移植を検討されているのでしょう。

現在も多くの組織、医療関係者、ドナーご家族、移植を受けられた方、国内で移植待機をしている方など、有志の方など多くの人が、国内での移植医療普及へ努力を続けていることを忘れてはなりません。

今回の件は、そういった長きに渡り努力を重ねられてきた方達の実績が無になってします可能性もあるのではないか?そのように懸念してなりません。

今、臓器移植を必要とされている方達の道を塞いでしまう恐れ

現在活動されている救う会の方達は、上記で書かれたような内容をすべて明確にされており、誠実に一生懸命努力をしています。
ただでさえ海外渡航移植に対しては世間からの風当たりも強い状況です。世間の偏見が膨らむことで、現在頑張られている方達の足を引っ張ってしまわないか心配でなりません。

私は補助人工心臓を装着しており、国内で心臓移植を待機しております。
移植を受けられるまであと何年かかるか分りませんし、すでに脳出血などの合併症も生じています。移植待機期間が延びるほどに、きっと生きてゆくことが難しくなるでしょう。

iPS細胞などを利用した細胞シートの開発・研究は始ったばかりであり、実用化にはまだまだ年月がかかることと想像します。
数年程度の話ではないため、私の心臓移植の代わりにもなり得ないことでしょう。

今回の件で移植臓器の理解者がゼロに近づけば、私を含めた国内で心臓移植を待っている方達の道も塞がれかねません。

好奇な視線は許容できるが、嫌悪感を持たれるのは嫌です

私は補助人工心臓のコントローラーを常に持ち歩いており、そのバッグにはステッカーを貼り付けています。

補助人工心臓のコントローラー

これは周囲に対して気をつけて欲しいということをアピールするとともに、日本でも身近なところで心臓移植を待っている人がいるという事実とその背景を伝えるために貼り付けています。

時には好奇な視線を受けますが、多くの人にとって未知な医療機器なので仕方のないことと思っていますし、私もその点については問題視していません。

しかし、もしこの救う会が正当なものでないのであれば「補助人工心臓」そのものに対しても偏見が加速しかねないと思われます。そのような事態になったら悲しいことですが、私もこのステッカーを剥がすことになるかもしれませんね。

補助人工心臓は募金の道具ではない

補助人工心臓といっても色々な種類、用途があります。
体外式補助人工心臓については心臓移植だけを前提として利用されるものでもありません。治療の一環として利用されるものであり、募金のための道具ではありません。

補足
植込み式補助人工心臓については心臓移植以外には救命が困難と考えられる症例に対して、心臓移植までの循環維持・改善に使用されます。

2016年11月当時

記者会見での代表の言葉の意図はわかりませんが、第一印象としてそのように思わざるを得ません。
以上です。


書きたいことは山ほどありますが、記者会見とサイトの情報しか分らない現状ではこれ以上は書けません。

本稿に対して批判をいただいても構いません、その内容には出来る限り真摯に向き合うべきと思っています。
また、共感いただける方についてはご自信の思い・考えを付与して本投稿をシェアいただけると幸いです。
多くの方の意見を知りたいです。

この記事の著者

Satoru Ishii
この補助人工心臓体験記の運営者です。
僕は拡張型心筋症で2015年2月にエバハートを埋め込み、心臓移植待機者になりました。
僕もいつかはVADを卒業する日が訪れます。(訪れました)
僕が成し遂げたいことは後継者を作ることではなく「当事者が声を上げていいんだよ」という雰囲気作りです。
これから先も地道に発信していきます。

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