僕が補助人工心臓体験記を立ち上げた理由

十数年前に弟が拡張型心筋症で体外式補助人工心臓を装着して心臓移植を待っていました。しかし、願い叶わず2002年に19歳の弟を看取りました。僕の中では当時の体験が強く残っているため、自身の補助人工心臓(VAD)植込みにも大きな抵抗がありました。
2015年2月に植込みVAD(エバハート)の手術を受けてから数ヵ月後、僕はVADの情報をかき集めるためにあらゆるウェブサイトやSNSをチェックしていました。しかし、そこには心臓移植待機者本人が発信する情報があまりにも少ないという状況でした。
心臓移植に向けて小さな一歩を踏み出した僕ですが、その未来には大きな不安を抱かざるを得ない状況がありました。
前例がないなら、僕が作ればいい
補助人工心臓を理解いただきたい!!という大義があるわけではありませんでした。ただ、VADを装着された方、検討されている方にとって一つでも参考となる情報を届けられればと思い、インターネットを通じた情報発信をはじめました。
それが、補助人工心臓体験記(shabondama-factory.com)というウェブサイトのはじまりです。
※2021年2月現在、当ウェブサイト(lvad.blog)に移行中です。
僕が補助人工心臓体験記を通じて伝えたいこと

補助人工心臓体験記ではVADによって得られる恩恵や命の素晴らしさだけでなく、長期にわたってVADを装着し続けなければならないリアルな葛藤も描くようにしています。僕が心臓移植を受けるその日までの経験をリアルにこだわって届けていきたい伝えたいと思います。
今の心臓移植待機者に足りない環境
僕が心臓移植待機生活を経験して気が付いたことの一つに「他の心臓移植待機者と接する機会の少なさ」がありました。病院内での小さなコミュニティーは存在するものの、VADという絶対的な患者数の少なさによって病院内コミュニティでは情報の多様性に欠けている現状があります。
全国に散らばるVAD患者や移植者(元VAD装着者)のノウハウ、それを得るためには当事者間におけるコミュニケーションの重要性を感じ始めました。補助人工心臓体験記では当事者が参加できる開かれた交流の場を提供しています。
僕が成し遂げたいこと
僕は僕なりに心臓移植待機生活を駆け抜けてきました。そして、僕もいずれはVADを卒業する日が訪れます。その時に「リアル」を発信できる当事者はどれほどいるだろうか?
僕が成し遂げたいことは後継者を作ることではなく「当事者が声を上げていいんだよ」という雰囲気作りです。僕がVADを卒業したら、また違う立場から雰囲気作りを支援したいと思います。
新しい補助人工心臓体験記が提供するモノやコト

補助人工心臓体験記では以下の「モノ」や「コト」を提供しています。
- イシイサトルの過去の体験記
- VAD患者、介助者の体験記
- VAD会などの交流イベントの企画・開催
- VADに関するイベント情報
誰でもVAD交流会、釣りde交流会、渋谷ジャックde交流会
オフラインでVAD当事者や心臓移植経験者、医療者などが集える交流の場を提供しています。

オンライン交流
誰でも参加できる交流の場として、Zoomで井戸バド会議を提供しています。
また、読者交流に特化した会員制コミュニティーサイト「補助人工心臓体験記.fan」を提供しています。