イシイサトルの体験記

誰でもVAD交流会の集合写真

【開催レポート】第二回 誰でもVAD交流会

この記事は2016年5月14日(VAD装着457日目)のリライト記事です

一見すると誰が補助人工心臓を装着しているのか分からないほどに元気そうな方達で、あっという間に予定の三時間が過ぎました。

いや~、楽しかった!

交流会を開催するまでの過程

「集え!VAD装着者」の時から交流会の開催を企んでいたわけですが、具体的に動き出したのは3月に入ってからでした。
私には患者会のようなことを企画した経験があるわけでもなく、全てが手探りな状況からスタートすることになりました。

考えを進めていく中で主催者として色々な責任と向き合う必要性もわかってきました。どうやったら「楽しめるのか?」という事よりも、考えうる「リスク」とのバランスを探していた時間の方が長かったような気もします。

一番大変だった「危険の抽出」と「仕分け作業」

たかが数人の患者が集まるだけの交流だろう
そこまで考える必要はあるのか?

正直なところ、私は企画段階が一番怖かったですよ。
初めに取り組んだことは、危険を一切無視して楽しさだけを追求したシナリオ作りです。そのシナリオから考えうる危険源を洗い出し、誰がどのような危害を受ける可能性(リスク)が潜んでいるのかを自分なりに洗い出しました。

出てきたリスクを何かしらの対策で乗り切れること、乗り切れないことに仕分ける作業を進め、その結果をシナリオに反映していくという地味なことの繰り返しを行うことで形作っていきました。

ただ、そうやってリスクを徹底的に排除して出来上がったシナリオは参加者の敷居をグッと上げてしまうものになってしまい、「魅力」や「楽しさ」が感じとれないようなものになってしまいました。

これじゃ人は集まらないだろうな…

私自身がそう感じてしまいました。
他の患者会などの運営情報を参考にしながら色々なやり方を模索していたところ、私自身がファシリテーターに徹するという考えに行きつきました。

当初は私自身も交流会の参加者として楽しもうと考えていた訳ですが、ファシリテーターがに徹することで出来る限りのリスクを私自身が許容するという方向でシナリオを作り直しました。
こうすることで参加者に課す参加条件を減らすことができました。

出来上がった交流会の参加条件

この交流会を企画VADと直接の接点がない方にも参加いただけるように、「誰でも」VAD交流会と名付けて3月下旬に参加受付を開始しました。

  • 会場費は参加者で割り勘・当日精算(1組1500円程度を想定)
  • 飲食は各自持ち込み
  • 一つでも「参加してよかった!」という思い出を残す努力をすること
  • 当日は体調最優先で無理をしてまで参加しないこと
  • 主催者が参加できること
  • 主催者が身分確認を求めた場合、それに応じていただけること
  • 参加者の体調、天候により急な開催中止や順延があることを理解いただけること

VAD当事者が主催することの厳しさを痛感

順調に予定していた人数の申し込みがあって少し安堵していたのですが、4月下旬になって私自身が脳トラブルにより1週間ほど入院する事態になってしまいました。

この企画では当事者の体調変化による開催中止リスクも考慮していましたが、当事者が主催することは容易なことではないことを身をもって知る事ができました。
幸いにも順調に退院することができ、開催日を延期することなく交流会当日を迎えることができました。

すごく大変だった会場探しエピソード

気軽に参加できるという条件を満たすために「参加費用を抑える」ことが必須条件でした。
具体的には「新宿」「飲食持ち込み可」「エレベーター付き」「同一フロアにトイレがある」と「一組1500円以下」という条件を満した会場を探していました。

貸し会議室であればいくらでも候補はあったのですが、費用面で折り合いがつきませんでした。キッチンスタジオやパーティールームなどに範囲を広げて探しても同じでした。

そして、レンタルスペースを探していたところダンススタジオという穴場スポットに巡り合いました。
そのダンススタジオは警察24時などのTV番組で出てくる新宿歌舞伎町交番のすぐ近くで、床はピカピカ、鏡張りで照明も明るく、AV機器も充実していました。

何よりもそのお値段が魅力的でした。
準備時間を含めて4時間レンタルしましたが、一組あたり1350円の会費で開催することが出来ました。

※交流会の開催にあたっては事前購入した品もありましたが、次回以降も使いまわせるものが多かったこともあり会費には含めませんでした。
具体的には名札、紙皿、アルコールティッシュ、模造紙、付箋紙、マジックなどです。

交流会のレポート

Facebookで実況しながら向かう

今回の交流会はみんなで作り上げるような雰囲気を大切にしました。
少し早めに来られた健康な方にはテーブルや椅子をセッティングいただき、そのテーブルに受付を設けました。

記帳や写真撮影などの同意が済んだ参加者には空白の名札をお渡しし、そこにご自身が呼んで欲しい名前を記入いただき首からぶら下げていただきました。

参加者の皆様には各自が持ち寄ったお菓子を紙皿に取り分けてもらうなど、積極的に動いていただきました。
参加者は主催である私達夫婦を含めて11名が集まりました。

  • VAD装着者
    • エバハート
    • ジャービック2000
    • ハートメイト2
  • 心疾患を抱えた方
  • 介助者やご家族

主催からの挨拶と注意事項の説明

全員が着席したところで私から挨拶と注意事項を説明させていただきました。

  • 一つでも「参加してよかった!」という思い出を残すよう、一人一人が努力をすること
  • リアクションは大袈裟に
  • SNSなどへ写真を投稿する場合には、相手の言質を取ること
  • 交流会の話はあくまでも参考に留め、応用はかかりつけの医療者と相談すること

特に念押ししたことが治療や体のケアに関することでした。

沢山のことを吸収し、活用してください。
ただし、治療や体のケアに関することへの応用については受診されている医療機関へ相談してください。
交流会で見聞きした話を応用して身体状況が悪化することは避けなければなりません。そのようなことがあればお互いに不幸な状況が生まれてしまい、このような交流会を開催できなくなる可能性もあります。

交流会に持参したメモより

これらは開催時だけではなく終了時にも念押しするように説明しました。

笑顔溢れる交流タイム

まずは、一人5分程度の持ち時間で簡単な自己紹介をしていただきました。
自身の経験を話している最中にその場面を思い出してしまったのでしょう、言葉に詰まる方もいらっしゃいました。
また、それを聞いた方も自身の経験を思い出してしまったのでしょう、瞳が潤んでいる方もいらっしゃいました。

そんなところから交流会がスタートしました。

お菓子をパクつきながらの交流、盛り上がらないはずがありません!
皆さん大人しそうに写っていますが、VAD生活のあるある話が炸裂していました。

初めてむき出しのジャービックを拝見しましたが、コントローラーの小ささにビックリです。ドライブラインは細くて長いし、カールコードになってる!

ドライブラインの取り回しや、普段の生活で気を付けていることなど沢山のことを聞くことができました。
しかし、ジャービックのコントローラーが飯ごうの形に見えてしまうのは私だけでしょうか・・・

病院という垣根を越えて繋がることの意味

病院によってVADの在宅管理の考え方や手技などが異なることがよく分かりました。
医療従事者の間ではそれらの内容が共有されているのでしょうが、当事者である我々にも必要だということが見えてきました。
だって、VADに最も近いのは当事者なのですからね、ちょっとした工夫や失敗談はものすごく具体的で役に立ちます。

同じ病院に通うVAD患者だからといっても必ずしも気が合うとも限りません。
外来日や時間が違えば話しをする機会すらない場合も多くあります。
また、少し遠い人だからこそ話せる内容もあったりします。
交流会に参加された方達には、そのことを感じとっていただけたら嬉しい限りです。

私はファシリテーター役として参加者のぶっちゃけ話がヒートアップしすぎないように少しヒヤヒヤしながらも楽しく仲介していました。
そして、交流会の終盤では私はこんなことを感じていました。

私がVAD装着後の早い段階でこのような会に参加できていたら、「前」と思える方向を早い段階で見つけ出し、もう少し芯を持って歩き始められたようにも思えます。
それは「あそこまで思い詰めることもなかったろうに・・・」と悔やむ気持ちです。

悩み苦しむことも大切な経験の一つだと思いますが、その程度にもよると思います。
私はどこに自分自身の気持ちを置けばよいのかすごく悩み、とても辛い経験をしました。

VADは「最終治療」ではなく、心臓移植という次の治療に繋げるための「中継ぎ」投手のようなものです。

私はこのような交流会の有用性とファシリテーター役の必要性を実感しました。
それこそが今回の交流会で得た成果だったと思います。

一人ひとりにドラマがある

患者、介助者、医療者である前に「一人の人間」だということを改めて実感することができました。参加者それぞれに歩んできた人生の歴史があって、その上に今の生活があります。そんな違う人間同士が集まることで、お互いに生き方のヒントのようなモノを発見しているような感じでした。

主催としてはそれぞれが交流会で感じたヒントを「糧」として、前に歩んでいただけたらと思います。

ドタバタのワークタイム

交流会では「補助人工心臓(VAD)ってどうよ?」というKJ法を使ったワークを用意していたのですが、すっかりその存在を忘れていました。
その原因は私自身が話の輪に入って盛り上がってしまったことです、次回はしっかりとスマホのアラームをセットしておきたいと思います。

ワークの存在に気が付いたのは終了時間の30分前で中止しようかどうか悩みました。しかし、せっかく遠いところから集まったのだからやる事にしました。

参加者みんなで色々なことを書き出してみました、このワークも盛り上がりましたね。
しかし、時間切れとなりまとめることが出来ずに消化不良な終わり方になってしまいました。実物を掲載するかどうか悩みましたが、これも一つの経験として載せてみます。
※次回には模造紙のサイズも大きいものに変更したいと思います。

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