補助人工心臓体験記

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コアグチェックで指先が痛くなってギターが弾けなくなる

コアグチェックで指先が痛くなってギターが弾けなくなる

私の胸には握りこぶし大のチタン製ポンプが埋め込まれています。

エバハートの模型

そのおかげで血液の循環が保たれているわけですが、何もしなければ血液がゲル化して色んなところで詰まってしまいます。
今回はそんな「血栓」と「ワーファリン服薬管理」に関するお話です。

この記事は2015/10/9(VAD装着239日目)のリライト記事です

血栓との正しいお付き合い

身体の中を流れる血液ですが、普通は液状ですよね。
しかし、VADを埋め込んでいると血液がゲル化しやすいんです。
そのゲル化したものが脳や肺の細い血管を詰まらせたりするので、大変困ったものです。

分かりやすく例えるのなら、「VAD患者=エコノミークラス症候群」という感じだろうか。

エコノミークラス症候群とは
食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。

予防のために心掛けると良いこと
予防のためには、
(1) ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
(2) 十分にこまめに水分を取る
(3) アルコールを控える。できれば禁煙する
(4) ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
(5) かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
(6) 眠るときは足をあげる
などを行いましょう。

引用元:厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」

血栓の発生を防ぐためにすること

手のひらに乗せたワーファリン

エコノミークラス症候群とは異なり、VAD装着者に対しては医学的に抗血栓効果(血液凝固能)を管理する必要があります。

なんだか難しいことを書いてありますが、血液のPT-INR値(以下、INR)を適正な範囲でコントロールするということです。
患者としてやるべきとは、定められた量のワーファリンを忘れずに服薬するということです。
(ほかにも食事内容を気を付けるなどがありますが、それはまた別の機会で書きたいと思います)

INRの測定方法と頻度

以前撮った採血の様子

INRは病院の採血で測定できます。
その値などを基にワーファリンの服薬量を算出しているそうです。

病院によって採用しているINRの管理手法が異なっているようで、通院での採血(月1~2回)で管理しているところもあれば、もっと細かく自己測定(週2回)で管理しているところもあります。

私は後者です。

以前に先生から聞いた話では、ワーファリンのコントロール手法は色々とあるそうで、採用した手法によって測定頻度も変わるそうです。
「ふ~ん」くらいで聞いていた話なので、詳しく知っている方がいましたらコメント欄で教えてください。

INRを自宅で測定する方法

私が通っている病院では、コアグチェックという小型の測定器が貸与され、それを使ってINRを測定しています。

針で指先をチクッとして、出た血液を試験紙に垂らすだけでINRが表示されるという簡単なものです。
表示されたINRの値を病院へ電話報告し、ワーファリンの服薬量や次回測定日を指示してもらっています。

後にYouTubeで公開した動画

コアグチェックのメリットとデメリット

あくまで私個人の主観でコアグチェックでINR管理をするメリットとデメリットを並べてみました。
医学的な根拠は何もないので、その点は注意してお読みください。

メリット

短い間隔でINRを確認できるので精神的に安心できます。

実際に週2回コアグチェックで測っていると、INRがどちらか一方に傾くことがあります。
低いとINRが1.x、高いと3.xまで振れます。

低ければ、ワーファリンを飲み忘れたかな?ビタミンKを取り過ぎたかな?と自身の生活を振り返ることもできます。
そう言った意味で(自称)意識高い系VAD患者になります。

デメリット

ダメ

こっちは沢山あります。

  • 服薬量管理が面倒で、ミスポイントが増える
    服薬量の指示が細かくなるので、毎回服薬量が変わることもあります。
    通院時の採血だけで管理されている方と比べたら、服薬量のミスポイントが多くなります。(今のところミスは発生していませんが、人によってはミスすると思います)
  • 指先が痛くなる
    針はインシュリン注射器ほど細くもなく、細めの安全ピンぐらいの太さがあると思います。
    私は下手なりにギターを弾いていますが、コアグチェックをした日は弦を抑えると指先に痛みが走ります。
    右手の指で測定できればいいのですが、利き手をチクっとして測定するのは意外と難しかったりする。
  • 小さな勇気が必要
    病院での採血と違って他人にチクッとしてもらうのではなく、自分でチクッとしなければなりません。
    採血で直視できない人はどうやっているのでしょうか。
  • イラつくことがある
    測定に必要な血の量がでない時があります、測ってもエラーになっちゃう時ですね。
    そうなった場合は違う指でリトライしなければなりません。
    これはマジでイラっとします。
  • 毎日測定することがある
    INRが大きく変化していたりすると毎日測定することもあります。

私の結論

ある日のコアグチェック

コアグチェックのデメリットばかり並べてしまいましたが、私は週2回のコアグチェックで服薬管理をしている方が安心できています。
しかし、コアグチェックがあろうがなかろうが、VAD患者は定められたことをキッチリとやることが重要です。
その点が疎かになってはいけません。

念力で血を出す

最近になって穿刺した際、確実に血を出す方法を見つけました。

  1. 穿刺する直前に、手を5秒ほどブルンブルンと大きく振って、指先に血を送る
  2. 素早く針を刺す
  3. 「出ろ~~!」と念じる

これで、最近は勝率100%です。
おそらく③がもっとも大切なのだと思います。

っということで、コアグチェックをした今日はギターを弾かずに弦交換していました。

この記事の著者

Satoru Ishii
この補助人工心臓体験記の運営者です。
僕は拡張型心筋症で2015年2月にエバハートを埋め込み、心臓移植待機者になりました。
僕もいつかはVADを卒業する日が訪れます。(訪れました)
僕が成し遂げたいことは後継者を作ることではなく「当事者が声を上げていいんだよ」という雰囲気作りです。
これから先も地道に発信していきます。

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