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「家庭ごみの有料化」からみる「世界規模の達成目標」

「家庭ごみの有料化」からみる「世界規模の達成目標」

以前書いたゴミ出しに関するブログ記事からスピンオフ記事を書いてみました。
この記事はおおよそ3000字あるので、時間のある時にお読みください。


私が住んでいる自治体では8年ほど前に家庭ごみの有料化がされ、有料の指定収集袋が導入されました。それまではタイヤ交換時に発生する廃タイヤの処分料や家電リサイクル料など、廃棄処分でお金を支払う機会はそう多くはありませんでした。そこへ家庭ごみの有料化が導入されたことで、私も少し意識が変わってきたような気がします。
そこで改めて家庭ごみの有料化について勝手に考察してみたいと思います。

家庭ごみの有料化による影響とその効果

私は家庭ごみの有料化は良い取り組みだと感じています。指定収集袋の購入はそれなりの出費になるので懐は痛みますが、ゴミを捨てるという行為が直接的なコストとして日々の生活に計上されるようになりました。

大きさ一枚あたりの金額販売の最小単位と金額
40L80円800円/10枚
20L40円400円/10枚
10L20円200円/10枚
5L10円100円/10枚
指定収集袋の金額

指定収集袋の容積1Lあたり2円の負担ですね。
当初は「袋が高すぎる!」と感じましたが、ある年のごみ処理経費を確認してみると、市民1人あたりの年間負担額は約7,000円(1世帯あたり約16,000円)でした。

ゴミ処理経費の内訳は大きく下記の3つです。

  • ごみ収集運搬等諸費用
  • 清掃工場の負担金
  • 最終処分場の負担金

こうしてみると指定収集袋の値段は妥当な料金設定なのかも知れませんね。

なるべくお金がかからないよう指定収集袋を節約するあまりに、ごみを詰め込みすぎて袋が破けてしまうこともあります。そんなときは袋の破れた部分をテープで補強するという方法で大丈夫とのことです。

最終処分場も有限ですから、ごみの総量が減らなければ処理コストが高騰し、指定収集袋の販売価格に転化される日も訪れるのかも知れません。
そのような未来が訪れないよう、ごみの処分超コストに意識を向けられたことが私にとっての家庭ごみ有料化の効果とも言えるでしょう。

個人のごみに対する意識の変化

指定収集袋の購入という直接的な廃棄コストが生まれたことによって「なるべくゴミを減らそう!」という市民意識が高まったような気がします。

ただ、何とかしてごまかそうとする人もいるようで、人目の付かない場所へ不法投棄されるゴミが目立ったような気もします。

不法投棄された家電

そのような場所は徐々に心ない人による不法投棄の「スポット化」が進み、いつの間にか膨大な量のゴミが溜まっています。その多くは日常的に発生する燃えるゴミとかではなく、リサイクル料が発生する家電品、有料となる粗大ごみが多くを占めているような印象を受けます。

気になって環境庁が出しているいくつかの調査報告を確認してみました。すると家庭ごみの有料化を導入した自治体において、有料化前後での不法投棄量はあまり変化がみられていないようです。

そういう意味では家庭ごみの有料化と不法投棄の因果関係はそう大きくないものだと感じました。不法投棄される物の多くは自然に帰るものではないので、海洋プラスチックごみと同じように大きく取り上げるべきものだと感じます。

東京23区内における家庭ごみの有料化

東京23区の地図

東京23区内では「東京23区推奨ごみ袋認定制度」がありました、確かに私が23区内に住んでいたころはそのような袋があったような気がします。
その制度は2009年に廃止され、現在では中身の見えるポリ袋(透明・半透明で簡単にやぶれないもの)であればよいそうです。

焼却炉の性能やその地域の税収などを加味すると、23区内では家庭ごみの有料化を行うことは必ずしも良い手ではないのかも知れませんね。
しかし、いずれも焼却されたごみは「焼却灰」として残ります。
焼却灰の一部はセメントの原料の一つである粘土の代替原料として使用されますが、残った焼却灰は埋立処分場に搬入されます。

ゴミの埋立地を増やしたいですか?

東京23区の焼却灰は新海面処分場に埋め立てられるそうですが、その処分場もいつかは一杯になってしまいます。
一杯になったらまた海の埋立地を増やしますか?新たに山林へ埋立地を建設しますか?
そうならないためにも東京23区に限らず各人が定められた分別やリサイクルなど行うことで、焼却灰の発生を少なくし、次世代に渡って現在の埋立処分場が出来るだけ長く利用できるように努める必要があると感じます。

ごみ問題に関する超個人的雑感

2018年末に開催されたCOP24(第24回 国連気候変動枠組み条約の締約国会議)で、当時15歳の環境活動家グレタさんが地球温暖化対策へのアプローチとして「脱化石燃料」を掲げたスピーチがありました。

残念ながら日本ではそのスピーチの内容よりも、その15歳の少女という人物へフォーカスされてしまい、COP24の本質的なものへの報道が少ない印象を受けました。

メディアの「海洋プラスチックごみ」の扱い

海洋プラスチックごみ

翌年にもその兆候が続きました。今度は「海洋プラスチックごみ」が大きくフォーカスされましたね。たしかに海洋プラスチックごみによる海洋汚染は目に余るものがありますし、生分解性ストローの開発やプラスチック素材からの代替も必要だと思います。しかし、それらは海洋プラスチックごみからの海洋汚染を防ぐ一つの手段でしかなく、日本メディアではその手段が目的化しすぎてはいないだろうか?

また、今回もグレタさん本人のことや海洋プラスチックのみをトレンドとして扱い、地球環境全体に関する報道は二の次な印象を受けました。

私が考えるゴミ問題の本質

新宿中央公園

ごみ問題の本質的なところは、有限な地球上で何十億人が健康的かつ継続的に社会生活を営むことができる環境作りであって、ごみの総量を少なくすることが必要な取り組みではないのでしょうか。しかし、「ごみ」だけにフォーカスしては解決しないことです。

そのためにSDGs(持続可能な開発目標)を達成する必要があります。
しかし、日本ではどれほどの人がSDGs(Sustainable Development Goals)を知っているのだろうか?

SDGsとは

そのSDGsの目標の一つとして「海の豊かさを守ろう」があり、その中に「海洋プラスチックごみ」の問題が含まれます。

地球規模で最終的に目指しているものを理解し、企業だけでなく市民レベルで協力して一つ一つの小さな改善を積み重ねていくことも必要である。そのことを一人でも多くの方に知ってほしいと思います。

日本は更なる3Rを

ちなみに、日本では他国と比較して3Rが進んでいるそうですが、世界ではそのような循環型社会には程遠い国も沢山あるそうです。

3Rとは

  • リデュース(Reduce)
    使用済みになったものが、なるべくごみとして廃棄されることが少なくなるよう、ものを製造・加工・販売すること。
  • リユース(Reuse)
    使用済みになっても、その中でもう一度使えるものはゴミとして廃棄しないで再利用すること。
  • リサイクル(Recycle)
    再使用ができず、または再使用された後に廃棄されたものでも、再生資源として再利用すること。

国土が狭く、資源が乏しい日本ではさらなる3Rを進めるとともに、そのノウハウを他国に提供することも日本が担うべき役割なのかも知れませんね。

あなたにとっての「豊かさ」とは?

2014年のリオ会議(地球サミット)で小国ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領が行ったスピーチを覚えている方はいますか?
コロナ禍で不安過多な現在、今一度その言葉の意味を感じ取ってほしいと思いましたので、下記動画を紹介します。

僕は病気で人生を立ち止まった。
けれども、立ち止まったことで初めて見えてきた世界があった。
それを糧にこれからどう歩むべきか。

「地域」の家庭ごみの有料化の話が「世界」の話になってしまいました、このままでは「宇宙」にまで話が飛んでいきそうなので終わりにしたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の著者

Satoru Ishii
この補助人工心臓体験記の運営者です。
僕は拡張型心筋症で2015年2月にエバハートを埋め込み、心臓移植待機者になりました。
僕もいつかはVADを卒業する日が訪れます。(訪れました)
僕が成し遂げたいことは後継者を作ることではなく「当事者が声を上げていいんだよ」という雰囲気作りです。
これから先も地道に発信していきます。

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